「かすみ隷記 -仕着せ-」

- novel -

名ばかりの湯浴みを終えたわたしは、すれ違う男の人達の視線を浴びながら、半地下へと通されました。

そこに用意されていた服。
それが、ここで男の人たちの欲望の捌け口とされているわたしが、次に身に着けなければならない衣装です。

視線から身を守り、尊厳を維持するためのものではありません。
男の人たちの欲望を煽り、剥ぎ取り、犯す快感を増幅させるためのものです。

着替えの時間はわずかしかありません。
間もなく、男の人たちが上の通路に溢れ、今日の欲望を処理する相手の品定めが始まります。

男の人たちの一方的な仕着せに従おうと、反抗しようと、わたしのこれからに変わりはありません。
いえ、むしろ、誇りと重なるこの服を着たまま、男の人たちの玩具になることは、苦痛でしかないでしょう。

それでも。
わずかばかりの時間であるとはいえ、あの肌に突き刺さるような視線を避けるために、わたしは衣服をもとめてしまいます。

まもなく、この場所は、溢れるような光に包まれ、わたしはそこで獣のような男の人たちから見下され、そして、そのうちの幾人かは、わたしの身体を使って性欲を満たすことを選ぶでしょう。

戦うための服は、いま、性奴としての隷服に変わります。
その服にわたしは、静かに身を包みました。

 

2006/10/09 紅茶男